浜渦正志（はまうず・まさし）　作曲家

　1971年9月20日、ドイツ・ミュンヘン生まれ。O型。
　ご両親は大阪教育大学の特設音楽科で知り合い、ミュンヘン音楽院へ留学している時にご結婚されたそうです。在学中に産まれたため、ご両親の講義中にはカール・リヒターやヘルマン・ロイターにミルクを貰っていたという逸話が…。日本帰国後は大学進学までずっと関西に住んでいたそうで、今でもインタビュー等では時折関西弁が飛び出します。
　小さな頃から絵を描くのが好きで、中学生の時には美術部の部長を務めていたほど。音楽はダニエル・ブーン、カーペンターズ、YMO、宮川泰、青木望、羽田健太郎などをよく聴いていたそうです。作曲は高校時代から始め、当時はキーボードにα-JUNO2、シーケンサーにMC-500を使っており、これらは「ファイナルファンタジーXIII」で久々に使ってみるかもしれないとのこと。
　高校卒業後、浪人を経て1991年に東京藝術大学音楽学部声楽科に進学。現ギタリストの田部井とおる氏、現オペラ歌手の酒井聡澄（さかいとしずみ）氏らと「オリジン」というインストのフュージョンバンドを組んでいたそうです。また現テノール歌手の原大介氏とも大学時代から親交が深く、ファイナルファンタジーVII、VIII、X、XIのコーラスはこれら浜渦氏のご友人が中心となっています。FFシリーズの音楽の生みの親である植松伸夫氏は、このコーラスメンバーのことを「浜渦組」と呼んでいるそうです。
　大学卒業後の1996年にスクウェア（現スクウェア・エニックス）に入社。『フロントミッション ガンハザード』（SFC）、『トバルNo.1』（PS）に数曲参加し、1997年の『チョコボの不思議なダンジョン』（PS）でソロデビュー。伊藤賢治氏からシリーズを引き継いだ1999年の『サガ・フロンティア2』（PS）では、ゲーム音楽としては珍しく、主となるテーマを3つに絞りそれを何度もアレンジする映像音楽のスタイルを取り入れました。2001年には『ファイナルファンタジーX』（PS2）の作曲を植松氏、仲野順也氏と共に担当し、ピアノコレクションズの編曲も担当。2002年の『アンリミテッド：サガ』（PS2）では全曲がストリーミングで流れるというスクウェア初の試みの中で生楽器を多くの曲で使い、また2006年の『ダージュ・オブ・ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-』（PS2）では「自分の普段の曲想がなかなか絵にハマらず苦労した」と述懐されていますが、東京フィルハーモニー交響楽団による演奏と打ち込み音楽の融合が実現したサウンドトラックは評価が高く、プレイステーションアワード2006にてベストサウンド賞を受賞しました。2009年には『ファイナルファンタジーXIII』（PS3）を手がけ、ボーカルやジャズ、ロック、ハウス、オーケストラ、そしてピアノと、スクウェアにおける氏の集大成、そして新たな一面をファンへ届けました。
　ゲーム音楽以外の分野でも、アイヌのパフォーマンスグループ『AINU REBELS』への楽曲提供やMinaさんのプロデュース、光田康典氏の『Sailing to the World』のピアノアレンジ（2006年）、ソロアルバム『Vielen Dank』（2007年）など、様々な活動をされています。
　楽曲にはピアノが使われることが多く、またストリングスなどが奏でる和声は複雑で「耳コピ泣かせ」と呼ばれることも。『アンリミテッド：サガ』『シグマ・ハーモニクス』『ファイナルファンタジーXIII』では戦闘曲の主旋律にヴァイオリンを使用したり、時折見られる印象的な"気怠い曲"でも弦楽器を使うなど、一聴しただけで浜渦さんの楽曲と分かる独特の構成が特徴です。
　『ファイナルファンタジーXIII』発売後の2010年にスクウェア・エニックスを退社し、個人事務所「MONOMUSIK」を設立。ドイツで行われたSymphonic Legendsオーケストラコンサートでは「Aquatic Ambience」（スーパードンキーコング水中BGM、作曲：デビッド・ワイズ）のオーケストレーションを手掛け、その大胆なアレンジは多くの反響を呼びました。今後様々なシーンでのご活躍が期待されます。

2009年4月20日記
追記・改訂：2010年3月29日、2010年10月14日

DIRGE of CERBERS -FINAL FANTASY VII-

PlayStation®Awards 2006 ベストサウンド賞

個人受賞

Annual Game Music Awards of 2010: Most Significant Breakout

FINAL FANTASY XIII Original Soundtrack

オリコンウィークリーチャート 初登場33,195枚 3位（デイリー：2位、4位、2位、4位、12位、15位、20位）
Golden Joystick Awards 2010: Soundtrack of the Year